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今回は、Smart Garage Charrette Report 第2章から、「充電場所」に関してワークショップで検討された内容をご紹介します。

充電場所に関する考察

図5．充電場所の生態系
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図5拡大

「充電場所」は、家、ビルディング、公共施設（道路上あるいは公営駐車場）、特定の充電ステーションなど、ｘEVを充電するあらゆる場所を含む。
また、この「充電場所」のステークホルダーのグループは、充電器などのハードウェア提供者と、その保守を行う企業も含まれる。
ｘEVの普及には充電ステーションが不可欠である。ただし、多くのシャレット参加者は、まず（収益を度外視して）戦略的に充電器を設置して回らなければ、充電スポットが利用可能になることはないと指摘している。リスクを犯して充電スポットを設置するかｘEVが普及するまで待つか、それが問題である。
ｘEV充電の世界に長年携わっている参加者は、こう問いかけている。『充電インフラが整備されているのか？充電しに来るｘEVはあるのか？ニワトリと卵の関係なんだ。どっちが先だと思う？』

図5を見ればわかるように、充電場所の生態系は、コネクターの生態系とかなりオーバーラップしている。実際、スマートガレージ生態系において、この2つの部分をもっとも堅牢なビジネスモデルにするには、充電ステーションのハードウェアを管理し、コネクターのサービスを提供する１つの会社を作ることかもしれない。

【充電場所ホスト】
充電場所のホストには、どのようなステークホルダーがいるだろうか？家庭では消費者自身、顧客サービスの一環として小売業者がホストになることもあれば、従業員への利便性を考えて事業者がなるケース、住民へのサービスの一環で地方自治体がホストとなるケースがあるだろう。また、（従来のガソリンスタンドのような）充電専門ステーションのオーナーも考えられる。
これらのホストは、いくつかのプロバイダーを組み合わせて、充電機器から必要なサービスまでを取り揃えることになる。これらのプロバイダーは、ホストと電力会社／グリッド間のビリング処理は、種々の情報交換の仲立ちを行う。

【サードパーティー】
図５の中ほど、左から三番目のボックスは、正に第3者としてのステークホルダーを表しており、充電インフラ提供者のほかに、充電インフラを利用した、マーケティング、情報提供、情報サービスなどの革新的なニュービジネスのサービス提供者が含まれる。
数時間のブレインストーミングで実に印象的な様々なアイデアが出てきたので、シャレット参加者の1人は『充電ステーションのグループには、何か楽しい夢が待ち構えていそうだ』と感想を述べた。

充電場所生態系に関する検討結果のまとめは、以下のとおりである。

経費：
充電ステーションのハードウェア一式及び設置費用

収益：
電気料金、駐車料金、（電力会社とビジネスを共有できるなら、充電スタンドが、デマンドレスポンスに呼応するなどして需要抑制したおかげで本来電力会社がピーク需要向けに用意しなければならなかった発電設備関連費用のうちの）回避できたコスト、その他、（広告、アトラクションなどの）充電スポットの場所に付随した新しい使い方から得られる可能性のある利益。

強み：
充電に関する標準規格を策定すれば、いろいろなステークホルダーが充電場所を提供することができ、それらのステークホルダー達にとって集められるデータの価値も高くなる。単に充電スポットとして電気を提供するだけでなく、充電時の利便性を提供することに価値がある。

弱み：
①先行者利益を目指して当初設置した充電インフラが、（1990年代カリフォルニア州で設置された無接触充電装置や、旧式の携帯電話ネットワークのように）その後の標準規格変更で使い物にならなくなる可能性がある。
②充電料金・駐車料金だけでは充電インフラ投資コストが回収できないが、他者に利益提供できている場合、だれが設置コストを負担すべきか？急速充電、あるいは、それに代わる少量の充電で済む効率的な車が出現しなければ、価値を生み出せない。

２大障害：
①公共充電インフラのビジネスモデルが見えない。誰が投資すべきかわからない
②いつ、どれくらいｘEVが使われるようになるかわからない

充電場所に関する考察、いかがでしたか？　EV充電インフラが整備されなければEVは普及しない。しかし、充電料金だけではペイしないような充電インフラを、EVが普及していないのに設置しても仕方がない。正に、ニワトリと卵ですね。本レポート内の囲み記事「Box6」として、ニワトリと卵のにらみ合いを打ち破るべく立ち上がった2つのニューベンチャー企業、クーロンテクノロジーズとベタープレイス社が紹介されていますので、こちらをご覧ください。

次回は、本レポートで「コネクター」といわれているステークホルダーに関する、ワークショップでの検討内容を紹介します。

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