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前回は、北米エネルギー規格委員会(NAESB)が規定した、卸売電力市場(Wholesale Electric Quadrant:WEQ)向けの新たな実務規格標準(Standards for Business Practices)である「WEQ-015:Phase II Demand response M&V Standards(デマンドレスポンス用の計測と検証に関する業界標準第2段)」を米国連邦エネルギー規制委員会(FERC)が国家標準として採用しようとしているというお話をご紹介しました。

FERCが2012年4月24日に発行した規則制定案(Notice of Proposed. Rulemaking:NOPR)『Standards for Business Practices and Communication Protocols for Public Utilities (Docket number:RM05-5-020)』の「Ⅰ.Background」、「Ⅱ.Discussion」を補足しながら、「Phase I Demand response M&V Standards(デマンドレスポンス用の計測と検証に関する業界標準第1段)」に関しては、「FERC Order 676-F」で法制化され、Phase IIも法制化手続きに入っているというところまでを前回はご紹介した訳ですが、このNOPRを最後まで読み進んだところ、結局このNOPRでは、どのような標準なのかわからないことが判明しました。

NOPRの最終章「VIII. Document Availability」に、米国連邦法令集(Code of Federal Regulations:CFR)の関連個所をどう改変するかが記載されていましたので、まずその部分を見ていただきましょう。

本委員会は、CFR第18編第38部を以下の通り改変することを提案するものである。【改変前】

§38.2 Incorporation by reference of North American Energy Standards Board Wholesale Electric Quadrant standards.
(a) All entities to which §38.1 is applicable must comply with the following business practice and electronic communication standards promulgated by the North American Energy Standards Board Wholesale Electric Quadrant, which are incorporated herein by reference:
(1) ・・・

・・・

(12) Business Practices for Measurement and Verification of Wholesale Electricity Demand Response (WEQ-015, 2008 Annual Plan Item 5(a), March 16, 2009).

【改変後】

§38.2 Incorporation by reference of North American Energy Standards Board Wholesale Electric Quadrant standards.
(a) All entities to which §38.1 is applicable must comply with the following business practice and electronic communication standards promulgated by the North American Energy Standards Board Wholesale Electric Quadrant, which are incorporated herein by reference:
(1) ・・・

・・・

(12) Business Practices for Measurement and Verification of Wholesale Electricity Demand Response (WEQ–015, 2010 Annual Plan Items 4(a) and 4(b), March 21, 2011).
(13) Business Practice Standards for Measurement and Verification of Energy Efficiency Products (WEQ–021, 2010 Annual Plan Item 4(d), May 13, 2011).

要するに、DRのみに着目すると、CFR第18編38.2(a)(12)として、以前NAESBが2008年の年間活動項目5(a)で定め、2009年3月16日業界標準に制定したWEQ-015の内容(黒字部分)が、2010年の年間活動項目4(a)で改定され、2011年5月13日に新たな業界標準となったので、連邦法令集の当該部分の記述をNAESBに新WEQ-015を示すものに差し替えたい-と記述されているのみなのです。

青字部分は、エネルギー効率化に関するM&V規格としてWEQ-015に加わった部分です。

DR実施時のM&Vの実務規格とは一体どういうものなのかは、NAESBのWEQ-015の内容を確認しないとわかりません。
ところが、NAESBのホームページWEQ Standards and Implementation GuidesにあったWEQ-015をダウンロードするハイパーリンク(WEQ-015 Measurement and Verification of Wholesale Electricity Demand Response)をクリックすると、NAESBのメンバーログイン画面となり、NAESB会員外はWEQ-015のドキュメントをダウンロードできないようです。

NAESBのオフィスに問い合わせたところ、NAESBの会員でなくとも$250で購入できることがわかりました。しかし、「They are protected by federal copyright with exclusive rights given to NAESB regarding the reproduction, distribution, adaptation and display」ということですので、たとえいつも通りの超訳でも、このブログで、その内容をご紹介するのはまずいことがわかりました。

NAESB DSM-EE小委員会の会合の議事録をまとめたページ(DSM-EE Distribution List)から関連ドキュメントがないかどうか探したところ、業界標準となる前のドラフト版が見つかっています。ただ、WEQ-015本体と同様の理由で、このブログでは紹介しない方がよさそうです。ご興味のある方は、是非、下記資料のハイパーリンクをたどって、ご自分で内容を確認していただきたいと思います。

RECOMMENDATION AS APPROVED BY THE NAESB WEQ EXECUTIVE COMMITTEE ON FEBRUARY 10, 2009

Requester:DSM-EE Subcommittee
Request No.: 2008 AP Item 5(a)
WEQ執行委員会の承認が得られ、NAESBとして「Phase I DR M&V」業界標準が出来上がる一歩手前のもの

とはいえ、このままでは(自分自身もそうなのですが)折角このブログをお読みいただいた方にとっても、「DRのM&Vに関する標準」とは一体どんなものなのか、欲求不満が募ってしまうと思われますので、再度、NAESB DSM-EE小委員会の会合の議事録をまとめたページを眺めていたところ、2009年10月8日付でEnerNoc – The Demand Response BaselinePerformance Evaluation Methodsという資料があり、その表紙を見ると「White Paper」となっています。そこで、EnerNOC社のホームページで同じものがないか探したところ、RESOURCESの中に「The Demand Response Baseline」として、全く同じものを見つけました。

そこで、次回は、EnerNOC社のWhite Paperから、「DRのM&V規格」の内容に迫ってみたいと思います。

今回は、非常に短いですが、以上です。

終わり