Walking towards the windmill on Windmill Hill, Compton Wynyates
© Copyright Colin Park and licensed for reuse under this Creative Commons Licence.
2011年10月、米国エネルギー省(DOE)エネルギー効率化・再生可能エネルギー局(EERE:Office of Energy Efficiency & Renewable Energy)および配電・エネルギー信頼性局(OE:Office of Electricity Delivery and Energy Reliability)の共同開催で2日間にわたるワークショップが開催された。
以下は、そのワークショップの初日のアゼンダである。
ワシントンDCで催されたこのワークショップでは、需要家の負荷をデマンドレスポンス(以降、DRと略)資源としてアンシラリーサービス(以降、ASと略)に適用するにあたっての、技術的/制度的/経済的/規制上/政策上の課題が検討された。
DOEの意図は、今日の電力系統の運用範囲で系統の信頼性を向上させるには何が必要で、更に、将来、出力変動の大きな再生可能エネルギーが大量に系統接続された場合には何が必要となるかについて、DOEのリサーチ・プライオリティを決定し、関係者に周知徹底させることにあった。
系統運用者から、DRアグリゲータ、大口需要家、技術ベンダー、大学および国立研究機関、州および連邦規制機関、コンサルタント、電力業界に至るまで、DRのバリューチェーンに関わりのある70名を超すエキスパートが、DOEのスタッフとともにこのワークショップに参加している。
以下は、このワークショップへの参加者リストである。
これらワークショップ参加者は、ASの売り手と買い手に分けられた。DRベースのASの売り手組は負荷の提供者である需要家、ASの買い手組は、系統運用者である。売り手組は、更に主にメータリング・通信および制御の観点から大口需要家の組と一般需要家の組に分けられた。これらの売り手は、通常どちらもDRアグリゲータ経由でASにDR資源を提供することになる。
ワークショップ初日、3つのステークホルダーグループ(ASの売り手、大口需要家およびそのDR資源ベースのASを売るDRアグリゲータ、一般需要家およびそのDR資源ベースのASを売るDRアグリゲータ)は個別に会合を開き、グループ内で共有のテーマや課題を洗い出した。2日目は全グループメンバーが一堂に会し、初日の成果を報告しあった。
このワークショップを企画したDOEの企画チームは、ワークショップを実り多いものとするため、事前に検討資料を用意、適任者への講演依頼もしていたので、初日は多くのプレゼンテーションが行われた。それに加えて、ASにDRを適用する場合のDR技術事例や実運用中および実証実験中のDRプログラムの紹介、DRベースのASを実施する上での、DR資源提供者側と提供を受ける側の経験などが紹介された。
以下は、その講演者リストである。
また、3つのグループそれぞれに、以下の6つの設問が課されていた:
1) DRをASに適用することは可能か?
2) それは望ましいことか?
3) 実施する価値はあるか?
4) 実施するためには何が必要か?
5) 実施するためには何が障害となっているか?
6) (障害があるとしたら)その障害を取り除くためにDOEに何を望むか?
DR資源を電源と区別なくASに利用するためにはどのように技術要件や市場ルールを調整すべきか、種々の負荷をASに適用する場合、それらのDR資源の特性と制約条件はどうなっているのか、今後DR資源のASへの適用促進にあたって、技術面および技術以外の面でどのような障害があるかについて話し合われたのである。
そして、それらの議論を踏まえて、それぞれのグループは発表資料を作成し、発表者を選定。各発表者は、DAY1の個別セッションの成果として、2日目の午前中、ワークショップ参加者全員に対して発表した。
以下はワークショップ2日目のアゼンダである。
これらの発表は、DAY2午後のディスカッションの焦点を絞るうえで非常に有益に機能した。
以下は、午後のディスカッションのファシリテーター及びワークショップ事務局メンバリストである。
いつもと趣を変え、前書きなしに、前回のブログの最後にご紹介した、米国エネルギー省が2011年10月開催したワークショップの報告書「Load Participation in Ancillary Services WORKSHOP REPORT」の1章をベースにして、2年前米国で起きていたことを、まるで見ていたかのようにご紹介しましたが、気に入ってもらえたでしょうか?
DRはどこへ向かおうとしているのか?米国では2年前にピーク削減以外に何ができるのかを真剣に考え始めた-そのきっかけとなったイベントを今回はご紹介しました。
終わり
Pingback: DRはどこへ向かうのか-その6 | インターテックリサーチブログ