Victoria Park
© Copyright Chris Upson and licensed for reuse under this Creative Commons Licence
前回は、プライスレスポンスブデマンド(PRD)という、第3世代DRともいうべきDR(を利用した仕組み)を踏まえた上で、『DRはどこに向かうのか』の現時点での総括を行いました。
• 技術的に向かう方向としては、手動型DRから自動型DR、Slow-DRからFast-DR
• DR利用シーンとしては、年数回のピーク負荷削減という非日常から、周波数調整や、出力変動の激しい再生可能エネルギーの出力補間のような日常へ
• DR資源の用途を定量的に見ると、まだまだピーク負荷削減用途が主流だと思われますが、
• ピーク負荷削減用途のDR資源提供者を見ると、インセンティブ型DR資源を提供する大口需要家から、今後はPRDを提供する一般家庭も多くなってくるのではないか
• DR資源の利用が拡大するかどうかについては、今後、PRDや省エネ(Energy Efficiency:EE)対応が増えてくる分、DRとしての利用率は下がるかもしれませんが、需要サイド(DSM=DR+EE+PRD)の利用という観点で見れば、減ることはないのではないか(まだ仮説ですが。。。)
この辺りが、当面のDRが向かう方向ではないかと思われます。
さて、今回はトランザクティブエネルギー(Transactive Energy:TE)を取り上げたいと思います。昨年からPRDとTEの2つのキーワードが気になっていたのですが、なかなか手を付ける時間がありませんでした。(PJMのモノだけですが)PRDに関して一通り眺めてみましたので、TEについての調査に切り替え、ご紹介していきたいと思います。
では、トランザクティブエネルギー(Transactive Energy:TE)とは、一体どのようなものか?
今回は、Baker Street Publishingの記事から紹介しましょう。
例によって、全訳ではなく、超訳であることをお断りしておきます。
トランザクティブエネルギー: 持続可能な電力市場構築のキーストーン
Baker Street Publishing
2013年9月6日
今日、電力系統は大きな変革の時期を迎えている。今後20年で、従来の発電⇒送電⇒配電⇒顧客への一方通行モデルから、新たな技術、新たなビジネスモデル、新たなステークホルダの関係をベースとする複雑なネットワークに変貌しているだろう。
風力、太陽光、バイオマス等、大量の再生可能エネルギー、一般家庭に普及する太陽光パネルを含む分散型エネルギー、マイクログリッド、風力・太陽光の出力変動に適応するための分散ストレージに、電気自動車。息つく暇もない技術革新と、自然エネルギーを使えば使うほどバックアップ電源として化石燃料を利用した火力発電を増やさざるを得ない矛盾に対応しようとして、現在の系統制御技術は、四苦八苦している。
そこで、先見性のある一部の技術者やエコノミストは、電力需給バランスを、従来の需要予測に基づき、計画発電を基本に若干の変動に対応しようとするのではなく、電力取引を基調とした仕組みに置き換えられないかと唱えだした。
ICT技術の進展により、従来は夢物語として一笑に付されかねないこのようなアイデアの実現に信憑性が出てきている。
そのコンセプトがトランザクティブエネルギー(Transactive Energy:TE)と呼ぶものである。TEは、より効率的、より公正、そして、より透明な電力系統を構築する上でキーストーンとなるべきもので、そのコンセプトの概要はSlideshareに掲載されており、近々iPad向けeBookとして発刊予定である。
非常に短いですが、今回はこれだけです。詳しくは、上記のSlideshare部分をクリックして、トランザクティブエネルギーとはどのようなものか、ご覧ください。
終わり
- 投稿タグ
- M2M, PJM, Smart Grid, Transactive Energy, スマートグリッド, トランザクティブエネルギー
Pingback: TE通信インターフェイス標準概欄―その1 – インターテックリサーチ株式会社
Pingback: NISTのトランザクティブ・エネルギー(TE)に関する情報のまとめ – インターテックリサーチ株式会社