Autumn leaves, Dixon Park, Belfast (2)
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来週17日に、関西地区で初めて実施するKNXの活動「第1回大阪KNX住宅・ビル制御テクノロジー・アプリケーションフォーラム」で「KNXとデマンドレスポンス」と題してお話させていただくことになり、このブログの場を借りて、話す内容を整理させていただいています。
前回は、KNX側からのスマートグリッド/スマートシティに対するアプローチであるKNX cityについてご紹介しようと思ったのですが、その前に「KNXとは、そもそも何なのか?」を確認しました。今日はまずKNX協会のマーケティング資料からKNX cityについてご紹介しますが、その前に。。。
「KNXとは、そもそも何なのか?」で、もう1つ大事な点をおさえ忘れていたので、そこから始めたいと思います。
3. KNXとは? (続き)
3.6 KNXのデータモデル
ここまでで、KNXでは、ハウス・ビル制御の通信プロトコルとともに、その通信でやり取りするメッセージ本体内のデータの形をDPT(Data Point Type)として標準化しているという話を行いました。
このDPTには、1ビットデータ型、2ビットデータ型、4ビットデータ型、1バイトデータ型等があるのですが、例えば、このDPTを組み合わせて調光機能付き照明器具の制御を行うことを考えてみましょう。
1)照明のオン/オフ:1ビットデータ型で対応できそうです。
2)次第に明るくするか、暗くするかの指示:1ビットデータ型で対応できそうです。
3)明るく/暗くする度合い(スピード):例えば1度ボタンをプッシュするごとに何%明るく/暗くするかを指定することができるようなインタフェースを考えます。すると、1~99の任意の%を指定できるには7ビット(~127)必要ですが、実際にそんなインタフェースにすると、明るくするにも暗くするにも結構時間がかかってしまいます。10回以内で完全に明るく/暗くするなら、2ビットもあれば良い(例えば1回のボタンのプッシュで1/2、1/4、あるいは1/8明るく/暗くするのを、それぞれ1,2,3に対応させる)。
4)折角調光機能付きの照明装置を提供するなら、スライダーのようなスイッチに連動させて0%から100%なめらかに明るさを制御したいという向きもあるでしょう。その場合は1バイトデータ型で対応できそうです。
メーカーごとに競争して使いやすく便利な調光機能付き照明装置を開発すると、1)と2)は同じでも3)と4)の仕様がメーカーごとに異なり、設置時にメーカーごとの設定が必要となってしまいます。いわゆるメーカーごとの「方言」が出てきてしまう訳ですね。
使う立場に立った結果、およびメーカー各社の切磋琢磨の結果そうなってしまうのは仕方のないことなのでしょうか?
折角KNXという国際標準に基づいたデバイスを組み合わせてHEMS/BEMSシステムを構築する場合も、設置事業者は、採用するメーカーの「方言」をいちいち学ばなければならないのでしょうか?
KNXでは、どこのメーカーのKNXスイッチと、調光機能付きKNX照明機器を組み合わせても、設置担当者がメーカーの「方言」を気にすることなく設置作業を行える仕組みを考案しています。
それが、機能ブロック(Functional Block)と呼ばれるもので、KNXにおける標準化の3本柱の1つです。
KNXの定める調光機能ブロックは、以下の3種類のDPTと、それぞれの利用方法の定義から構成されます。
• DPT_Swicth:オン/オフ制御する1ビットデータ型
• DPT_Control_Dimming:4ビットデータ型
先頭ビット:=暗くする/1=明るくする
後ろの3ビット:1=1回の調光ステップ100%(1/1)、2=1回の調香ステップが50%(1/2)、 ・・・、7=1回の調光ステップが1/64。
• DPT-Scaling:符号なし8ビットデータ型で、80h=明るさ50%、FFh=明るさ100%
この調光機能ブロック仕様を満たさなければ、調光機能付きKNX照明機器と認められないので、設置事業者は、どのメーカーの調光機能付きKNX照明機器か意識することなく、設置時のパラメタ設定作業を行えるという訳です。
では、いよいよKNXシティの話に移りましょう。
4. KNXシティ
「KNXは、ハウス・ビル制御の国際標準である」という定義からすると、KNXは基本的に、建物の中の設備を制御するもので、かつ、従来はエネルギー管理もできるけれども、主軸は、いわゆるHA(ホームオートメーション)、BA(ビルディングオートメーション)にあったのではないかと思います。
ところが、ヨーロッパにおいても、EUからスマートメーターに関する標準化指令(M/441)やスマートグリッド標準化指令(M/490)が出てきて、CENは、M/441マンデートに対応して作成したスマートメーターインフラの参照アーキテクチャの技術報告(Technical Report)TR50572の中で、スマートメーターと住宅のインタフェースとしてEN 50090に言及。CENELECもM/490マンデートに対応してEN 50090に関して何が必要かの検討を開始しました。
思い出して欲しいのですが、国際標準ISO/IEC 14543は、154543-3:KNX、14543-4:ECHONET、14543-5:IGRS(中国の家電制御標準)のトリプルスタンダード。 CENも、KNX以外に、LONWorks、BACnetをビルオートメーション制御システム(Building Automation Control System:BACS)標準に認定していますが、CENELECのEN 50090はKNXのみが対応しています。
ということで、好むと好まざるにかかわらずKNXのスマートグリッド対応が始まったということではないでしょうか?
#KNX協会として、いやいや参加しているという意味ではありません。KNX協会からはCTOであるJoost Demarest氏はじめ、技術担当部門が積極的にかかわっているようです。
当初、KNX cityという名前を耳にした際、いわゆるスマートシティのKNX版で、どちらかというと、今はやりのスマートグリッド/スマートシティの波に乗り遅れないためのマーケティングバズワードではないかと高をくくっていたのですが、KNシティについて調査してみると、背景にこのような動きがある中で、しっかり地に足をつけた取り組みであることが分かりました。
以下、KNX協会Lutz Steiner氏が作成したKNX cityの資料からご紹介します。
4.1 スマートグリッドとKNXシティの位置関係
ここでは、スマートグリッドとスマートな建物(=KNXで制御された建物)の間での対話の結果(result of the interaction)がKNX cityであると言っています。
この対話部分を拡大したのが、次の図です。
SGCPについては「DRとKNX-その2」の1.6でご紹介しましたね。日本で言うHEMSは、ここではCEM(Customer Energy Management)となっています。基本的にSmart DevicesがKNXデバイスであり、KNX cityは、この中でEMG/CEMあたりに位置することになるのでしょうか?
もう少し、Lutz Steiner氏の資料を読み進んでいきましょう。
上図は、いわゆる価格反応型DRの内、RTPに関するユースケースですが、これに対してM/490、M/441に対応する建物は如何にふるまうべきかというのが次の図です。
そして、このアクション部分こそがKNX cityであるとされています。
この図により、SGCPより内側(建物内)で、M/490に対応するものがKNX cityであるということが明確になりました。
では、具体的に、KNX cityでは、何をどうしようとしているのか?
上図を見ると、4つの観点でEN50090を拡張しようとしていることが分かります。
以下の4点について、新たなDPTを定義するという方向で、KNX cityの実装が考えられているということのようです。
最後に、マーケティングの観点からKNX Cityの位置づけをご覧いただきましょう。
今回はKNX cityのみのご紹介のつもりでしたが、DRとKNX(正確にはEN50090)の関係についても踏み込んでしまいました。このブログシリーズを始めるきっかけとなった大阪での「KNXとデマンドレスポンス」のプレゼンテーション本番も17日に迫ってきましたので、このブログでの「DRとKNX」のご紹介は、これでいったん終了とします。
最後に、2014年10月8日インプレス社から発売が開始されました、拙著「電力自由化時代のOpenADR2.0の全貌2015」について宣伝させていただきます。
前回、インプレス社から『スマートグリッドの核となるデマンドレスポンスの全貌2013』 を発刊させていただいたのは2012年12月でした。OpenADRに関していうと、当時はまだOpenADR2.0aしか出来上がっていませんでしたので、OpenADRをご紹介させていただくに当たり、OpenADR2.0のベースとなっているOASISのEI1.0に、OpenADR2.0aの情報を交えてご紹介しましたが、今回はOpenADR2.0bベースの説明に差し替えています。
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終わり
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