The Summerhouse

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前回(10月10日)、このブログで「まだFERCオーダー745に関する米国最高裁判所での審理が始まっていないようだ」とご報告しましたが、その4日後の10月14日、最高裁での審理が開始されたようです。

本日は、Lexologyという、法律家その他各界のご意見番?の意見が掲載されているサイトで見つけた『SCOTUS entertains oral argument on FERC Order 745, the “demand response” rule』を抜粋してご紹介したいと思います。 ところで、本題に入る前に、今回ご紹介する記事のタイトルにある「SCOTUS」の意味をご存知でしたでしょうか? 人物の姓で『SCOTUSさんはデマンドレスポンスに関する規則を定めたFERCオーダー745に関する口頭弁論を楽しんだ』という意味ではありません。SCOTUSは、Supreme Court of the United Statesの略、すなわち米国最高裁判所でした。ご存じだった方には、何でもないことですが。。。 また、「entertain」という単語も、法務用語としては通常と違った意味合いを持つようです。

横道にそれてしまいましたが、では、はじめます。例によって、全訳ではないことと、個人の思い込みが含まれているかもしれないことをご承知おきください。

米国最高裁判所でDRに関する規則を定めたFERCオーダー745に関する口頭弁論始まる

Stoel Rives LLP – Jon B. Wellinghoff

USA 2015年10月14日

米国最高裁判所は、今朝、連邦エネルギー規制委員会(FERC)とエネルギー供給協会(EPSA)の間で争われている問題に関する口頭弁論の聴取を実施した。争点は、DR資源提供者への補償を規定したFERCオーダー745(以降O745)の有効性である。 本日の審議録はここからダウンロードできるが、ここでは、それに先立って今年はじめ私が先進エネルギー経済(AEE)のWebinarでマルコム・ウルフ上席副社長にお話しした、本件に関するコメントの概略を紹介したい。なお、この時のWebinarはここから、インタビューの筆記録はここからダウンロードできるので、詳細はそちらをご覧いただきたい。

デマンドレスポンス(DR)にはいくつかの役割がある。

1番目は、本質的に発電所が生成・提供する資源に等しいエネルギー資源であり、テクノロジーの進歩のおかげで、いまや発電機の電源に勝るとも劣らない堅牢な技術に仕上がっていることである。そのため、容量市場やアンシラリーサービス市場で、電源と対等に資源提供を行えるまでになっている。

より重要なことは、その柔軟性である。DRなくして太陽光発電や風力発電など出力変動の大きな電源を系統接続するにあたって、系統の安定性を確保し、かつ、本来、再生可能エネルギー導入を促進するための目的である低炭素社会を実現するのは不可能に近い。DRは、低炭素社会実現のための「接着剤」のようなものであると考えている。

ところで、ワシントンDCの高等裁判所は、3人の裁判官による審理の結果、2対1でFERCオーダー745が無効であるという結論を下した。私は、この判決をいささか疑問に思っている。

本件についてエドワーズ裁判長が示した、連邦エネルギー法(FPA)824条(d)、(e)項で規定されたFERCの権限と暗黙の承認に関して異議を唱えるものではない。しかし、DRが需要家の電気の使い方を変更するからと言って、FERCがFERCオーダー745によって需要家の電気料金決定権を有する州規制機関の権限を侵していると考えるのは、おかしいのではないかと考えている。

たとえてみると、「大量に石炭を(小売市場で)購入し火力発電所で使って、発電した電気を卸電力取引所に低価格で売りつけると卸売市場価格に影響を与えるので、石炭は小売り製品ではない」と言っているような論理のすり替えがあるのではないだろうか? DRアグリゲータは、確かに電力小売市場でDR資源を消費者から調達するけれども、そのようにして消費者から得られたDR資源を束ねて売り込む先は電力卸売市場であり、市場価格に影響するとしても、それは卸売市場価格である。DRアグリゲータが消費者から調達したDR資源を束ねて卸売市場に提供する「製品」は、州規制機関の監督反中である小売市場の製品ではなく、卸売市場の製品である。

最高裁判所で本件が再審理されることで、我々は勝利するだろう。

この意見を投稿したStoel Rives LLPというのは、米国の法律事務所のようですが、そこに籍を置いている筆者のJon B. Wellinghoff氏は、実はオーダー745作成時、FERCの長官でした。FERCオーダー745の正当性に関して絶対的な自信を持っていることがうかがえます。
最高裁での口頭弁論の内容はここを見なければならないのですが、71ページあり、まだ読了できていません。 さわりの部分だけご紹介すると、まず冒頭に

  • No. 14840:FERC (請願者) 対 EPSA他
  • No. 14841:EnerNOC他 (請願者) 対 EPSA他

とあり、FERC対ESPAだけではなく、EPSA他の高等裁判所で勝訴したDR反対派に加えて、EnerNOC等DR擁護派が、DR反対派に向けて出された最高裁への上告の口頭弁論も、同時に当日実施されていたことがわかります。

そして、当日の口頭弁論は、以下の通り執り行われたようです。

  • 4~17ページ:連邦の請願者を代表して米国司法局の法務次官Donald B. Verrilli, Jr氏の口頭弁論
  • 17~25ページ:民間からの請願者を代表してSidley Austin法律事務所最高裁担当主席弁護士のCarter G. Phillips氏の口頭弁論
  • 25~54ページ:EPSA等の被告側の代表としてPaul D. Clement氏の口頭弁論
  • 54~59ページ:Donald B. Verrilli, Jr氏の反論

実は来週海外出張が入っていて、次のブログ更新がいつになるかわかりませんが、飛行機の中での時間つぶしに、この口頭弁論の内容を追ってみようと思っています。

本日は以上ですが、最後に、KNXではなく、ビルオートメーション分野において、日本ではKNXよりもずっと以前からオープンデータ通信の国際標準ISO/IEC14908となっているLONWORKSネットワーク技術の国内普及活動を実施されてきたLONMARK JAPANのセミナーの案内をさせていただきます。

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『LONMARK SESSON 2015 東京』 開催のご案内
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いつもお世話になっております。

私どもLONMARK JAPANは、来たる平成27年11月26日に「LONMARK SESSION 2015 東京」セミナーを下記内容で開催する運びとなりました。

以下に概略を記します

会場:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟416号室
費用:無料(講演資料付)
定員:先着150名 
開催時間:午前10時から午後4時40分  

講演内容:「オープンネットワーク新時代、IoTの実用化と課題」

第1部 「オープンネットワークのセキュリティ」
 基調講演 「ネットワークセキュリティ施策(仮)」
 経済産業省情報セキュリティ政策室長 瓜生 和久様(調整中)

 特別講演 「対日本、サイバー攻撃最前線(仮)」
 株式会社サイバーデフェンス研究所 理事/上級分析官 名和 利男様

 講演「CSSC活動の紹介と、オープンBAシステムのセキュリティ対策に望むこと」
 イーヒルズ株式会社       取締役    渡部 宗一様
 森ビル株式会社 管理運営部 技術2グループ担当課長  久保田 常人様

 講演「ネットワークから考えるIoT/M2M/BAフレームワーク」
 アライドテレシス株式会社 環境ソリューション推進部 執行役員 作本 直樹様

第2部 「オープンネットワーク、IoTの実用化事例とその技術」
 講演 富士電機株式会社 部長 増渕 正裕様
 講演 日本マイクロソフト株式会社 エバンジェリスト 太田 寛様
 講演 Belden/ヒルシュマン 山田 茂晴様
 講演 Echelon Corporation Rich Blomseth様

特に、第1部特別講演の(株)サイバーデフェンス研究所 理事/上級分析官 名和利男様は、先般9月14日のNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」に「不屈の”トップガン”、サイバー攻撃に挑む」として紹介されました。

http://www.nhk.or.jp/professional/2015/0914/

この他の講演者の方々も、現在それぞれの分野の最前線で活躍している皆様です。

開催内容の詳細つきましては、LONMARK JAPAN ホームページ http://lmjapan.org/ のトップページのバナー、または下記アドレスを参照下さい。

詳細パンフレット http://lmjapan.org/news/pdf/20151022.pdf

申込みページ   http://lmjapan.org/form_entry20151126/form.php

皆様の申込みを、お待ちします。

特定非営利活動法人 LONMARK JAPAN
理事長 富田俊郎  事業推進委員会委員長 石戸谷徹

 

終わり