Richmond Road
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前回、やっとMISOのDIR(Dispatchable Intermittent Resources)の紹介に入ることができました。
今回は、2011年4月、DIR運用を開始するにあたってMISOが関係者向けに開催した「Dispatchable Intermittent Resource (DIR) Workshop」から、DIRとしての風力発電設備の登録と、市場参加のルールについて見てみたいと思います。
■ MISOのDIR登録に関するルール
- 2013年3月1日以降、基本的にすべての風力発電設備は、DIRタイプの発電資源として登録しなければならない。
※ 風力以外の再生可能エネルギー設備は対象外
※ 2005年4月1日より以前に運用開始している風力発電設備は対象外
※ 2005年4月1日以降に運用開始した風力発電設備でも
1) その設備容量100%に関してNetwork Resource Interconnection Service (NRIS)対象のもの
2) その設備容量100%に関してNetwork Integration Transmission Service (NITS)対象のもの
3) その設備容量100%に関してLong-Term Firm Point-to-Point Transmission Service対象のもの
4) 重複なしに1)~3)の合計がその設備容量100%となるもの
- DIRタイプとして発電資源を登録した風力発電設備は、上記の例外規定を満たさなくなった場合もインターミッテント(間欠的電源)タイプに戻すことはできない
- 発電設備登録(Generator Registration)において、Intermittent Flagに「DIR」を指定する
※ 従来の発電設備は「No」、太陽光発電や、上記の例外規定に相当する風力発電設備では「Intermittent」を指定する
- また、当該DIRの入札を行うMarket Participant、当該DIRが所属するCPNodeでの発電出力を計測するMeter Data Management Agent (MDMA)、風力出力予測テンプレート等を登録する
- (リアルタイム市場に連動した5分毎の給電指令に従うため)MISOのWANに接続する要件として、ICCP(Inter-Control Center Communications Protocol:米国で給電指令に使われている標準的な通信プロトコル)インフラを構築する
※ この通信設備の設置及び毎月の維持管理費用はMISOが負担するが、DIRの資源提供者は、フェイルセーフのために用意された複数のMSIOルータとファイアウォール越しに通信できるよう環境設定しなければならない
- ICCPが機能しない場合のバックアップとして、XMLでの給電指令に対処できなければならない
■ DIRがMISOの市場に参加するにあたってのルール
- DIRは、通常の電源同様、MISOの1日前市場およびリアルタイム市場の入札に参加できる
※ ただし、電力(Energy Offer:$/MW)の提供のみで運用予備力(Regulating Reserve、Spinning Reserve、Supplemental Reserve)としての入札は不可
- 1日前市場およびリアルタイム市場に入札したDIRの電源としての状況(Commit Status)としても、通常の電源同様の指定を行なう
※ Outage:供給不可、Emergency:緊急時のみ供給する、Economic:MISOのdispatch指令に従う、Must Run:Self-schedule(下記参照)で運転する、Not Participating:運転可能だがMISO市場には参加しない のいずれかを指定する
- ただし、DIRの最大出力(Maximum Limit)に関して、風力発電設備の設備容量に基づく値ではなく、風力発電予測値を指定する。すなわち、一日前市場では翌日1時間毎の風力発電予測値が最大出力として取り扱われる リアルタイム市場では、5分毎の短期発電予測値が5分毎の最大出力として取り扱われる
- 電源の状況がEconomicタイプのものに関して、MISOは従来の電源かDIRかの区別なく、入札価格の安い順に、必要量に達するまで調達していくが、その際DIRに関しては、風力発電量予測値を最大値として調達される
- リアルアイム市場でのDIR資源毎の風力発電予測量に関して
1) DIR資源提供者が、DIRの設備付近の天候情報等を基に、独自の5分毎の風力発電予測を逐次行っていて、かつ、30分前に当該5分間の予測量をMISOに通知している場合は、その予測量を採用する
2) そうでなければ、MISOが実施しているMISO管内全域での平均の風力発電予測値が用いられる
3) その他、何等かの理由でMISOの当該5分間の風力発電予測計算が30分前に出なかった場合や、MISO管内の平均風力発電予測量が、(ならし効果により?)地域の送電事業者が実施している系統予測(State Estimator: 詳細は未調査)より極端に小さい場合は、系統予測値を参考にしてDIR資源に対する給電指令内容が決定される
- 1日前市場では、1時間ごとの風力発電予測値もMWと入札価格($/MW)で1時間毎の清算が、リアルタイム市場では、5分毎の風力発電予測値の基づいた給電指令のMW値と、DIR資源が所属するCPNodeのLMP価格から清算が行われる
※ リアルタイム市場において、DIRの実資源提供量が連続して4回(20分間)8%以上の乖離があると、ペナルティの対象となる
以上、ワークショップ資料の内、「DIR Registration」、「ICCP Infrastructure」、「DIR Market Participation」からかいつまんでご紹介しました。 同資料では、「DIR Settlements」として、他のMISO管内での制度との関連が、いろいろ事細かに説明されているのですが、その部分はまた今度ご紹介します。 今回はここまででおわります。
終わり
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