Wind turbines in a snowy field near Elwick (view east)
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とある調査で、1月23日~25日、米国サンアントニオ市で開催されたDistribuTECH2018に行ってきました。 Greentech Media 1月23日付けの記事「DistribuTech 2018: Microgrids, Underground Networks, and Keeping the Lights On」によると、昨年米国を襲ったハリケーンや大寒波などの異常気象に対して、停電回避・復旧が電力会社にとって重要な課題となり、今年のDistribuTechカンファレンスで発表された新技術やサービスでも、電力系統の信頼性に関わるものがフィーチャーされていたようです(残念ながら、同時並行で様々なトピックの報告が行われるので、本件に関しては直接見聞きしたことをお伝えすることはできません)。 この他に、DistribuTECH2018終了後の1月30日付で、Greentech Mediaから「DistribuTech 2018: Big Data, Artificial Intelligence and ‘Digital Twins’」という記事が出ています。これも今回の海外出張での調査対象外だったので、カンファレンスで直接見聞きした訳ではないのですが、この記事のタイトルに出てくるテクニカルタームは第四次産業革命の構成要素そのものであり、展示場を見て回った際の自分の第一印象も(これはFacebookにもアップしたのですが)、「2年前サンジェゴの時と比べるとIT業界だけでなく、通信業界からの出展、セミナーが多くなっていて、エネルギー業界にも第四次産業革命の影響が確実に訪れているようだ」と感じました。
そこで、今回は、Greentech Mediaの1月30日付の記事をご紹介したいと思います。
例によって、全訳ではないことと、個人的な思い入れが入った超訳になってしまっているかもしれない点にご留意ください。
では、はじめます。
ビッグデータ、AIおよびデジタル・ツイン、DistribuTech2018で存在感
機会学習などの助けを得て、分散型エネルギーが電力系統に変化をもたらそうとしている。
2018年1月26日 John Jefst
膨大な計算能力とユビキタスデータは、今後の電力網に何をもたらすのか?
テキサス州サンアントニオで開催された今年のDistribuTech会場のあちらこちらに、この質問への回答が用意されていた。「機械学習」、「人工知能(AI)」、「デジタル・ツイン」といった用語が、展示会場のベンダーブースで飛び交っていたのである。
これらのバズワードをDistribuTECHで耳にするようになって数年たつが、今年は何かが違う。単にバズワードではなく、ここ数年のうちに実績を伴う、将来が約束されたテクノロジーとして頭角を現してきた感がある。
例えば、「デジタル・ツイン」のコンセプトがそうだ。
「デジタル・ツイン」は、例えば、発電所のタービンや、エンジンその他の非常に複雑なデバイスをシミュレーションするもので、実際に発電所の各所/機器に取り付けたセンサー(=IoT)からの膨大なデータをリアルタイムに採取・分析し、正常・異常運転パターンを「機械学習」させて、それを元に、コンピュータ上でいろいろな運転シナリオを実行して、現実の発電所の最適運転シナリオを見つけたり、故障を予測したりするものである。
今、このコンセプトを拡大し、絶え間なく変化する電源ミックスから構成される電力網全体に適用できないか考えられている。冒頭の質問に戻るが、従来のコンピューティングパワー、記憶容量、データ収集の通信速度では無謀ともいえるこのような試みが、「ネットワーク・デジタル・ツイン」として、近年の「膨大な計算能力とユビキタスデータ」で可能となりつつあるのである。
これが利用できるようになれば、系統内で発生するイベントをシミュレーションし、電気的な流れやネットワークの変化その他の現象をリアルタイムにシミュレーションすることができる。
そのためには、複数の系統間でデータを収集・分析し、データと系統の実際の状況の間のギャップやエラーを洗い出し、デジタル・モデルに何を入れるのか整理、標準化等、果たさなければならない作業が山積しているが、実現した暁には、系統運用に関して、人間では気づくことが非常に困難な洞察をもたらすことが期待されている。
GE:Predix, Siemens:MindSphere, ABB:Ability Ellipse
「ネットワーク・デジタル・ツイン」が実現すれば、系統内の機器の故障の予測・防止や、何分の1秒単位での系統指令の通知といった運用上の問題から、急増するルーフトップ太陽光発電やプラグイン電気自動車の充放電をVPP資源として電力会社が買い取るための投資政策・計画策定のような経営上の問題まで、幅広い利用が期待できる。
「ネットワーク・デジタル・ツイン」技術がいつごろ完成するのかはわからないが、GE社のIIoTプラットフォームであるPredixを利用する主要顧客であるExelon社が、発電設備だけでなく、送電会社とも業務提携したことは注目に値する。
なお、今年のDistribuTECH展示会場で、このような「デジタル・ツイン」を構築できるプットフォームを展示・紹介していたのはGEばかりではない。GE社のPredixに加えて、Siemens社はMindSphere、ABB社も、Ability Ellipseを系統運用における要員&設備管理統合プラットフォームとして発表していた。
系統運用の周辺で増えてきたAIの利用
昨今、大企業でなくとも「デジタル・ツイン」やAIに手が届くようになった。AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azure等のクラウドプロバイダーを通じて、上記のGEやSiemensの新しいプラットフォームを利用できるようになっている。
分散型エネルギー資源(DER)のアグリゲータ企業も、機械学習やAIに投資している。
事業所向けに定置型蓄電池サービス事業を手掛ける米国のエネルギーベンチャーStem社は、蓄電池利用によるビルの負荷軽減、時間と状況に依存したビジネスモデルを成功させるため、2009年から「機械学習」や「データサイエンス」への投資を行なっていたという。 また、カナダのバンクーバーに本社を置くスタートアップ企業のEnbala社は、様々な業種の生産工程起源のDR資源を分散型エネルギー資源として集約するノウハウに長けていたが、DistribuTECHではAIを利用しエネルギー貯蔵コストと卸売市場価格予測を考慮した経済最適化アルゴリズムに基づく新しい入札戦略ソフトウェアを展示していた。
以上、今回は、Greentech Mediaの記事から、エネルギー業界における第四次産業革命の話題を取り上げました。
なお、今年のDistribuTECH2018で2つラッキーな出会いがありました。
展示会場内にOpenADRアライアンスがブースを設けていたので立ち寄ったのですが、私がブースを訪れた時、トランザクティブ・エネルギーの第一人者で、トランザクティブエネルギー協会(Transactive Energy Association:TEA)会長のEdward Cazalet氏がいらっしゃったので、自己紹介し、名刺交換させていただきました。
もう1つは、このブースにOpenADR製品を出展していた西原エネルギー高橋氏が、(OpenADRを日本に伝えたことでご存知の方も多いと思いますが)カリフォルニアからDistribuTECHに来ていたJohn Linさんとのランチをセッティングしてくださり、DistribuTECH会場付近のフードコートでチャイニーズ料理を食べながら3人でいろいろ話すことができました。
今回のDistribuTECH出張は、初日22日、成田空港が積雪で封鎖されて飛行機が飛ばず、散々な出だしだったのですが、本来の調査以外にもいろいろ実りの多いものとなりました。
以上
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