Kingswood railway station: buildings

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11月13日付で、PJMが、10月15日のFERCオーダー173FERC¶61,061で要請されたMOPR関連のCompliance Filing「COMPLIANCE FILING CONCERNING THE MINIMUM OFFER PRICE RULE AND MOTION TO REINSTATE THE DEADLINE FOR ACERTAIN RPM PRE-AUCTION ACTIVITY」が提出されました。

紆余曲折がありましたが、これでやっと第3回MOPR改定の全容が明らかになりました。今回のCompliance Filingは全部で268ページ。10月15日に再提出を命じられた項目に関する改定内容の説明に後に、今回のMOPRに関連する料金表(Open Access Transmission Tariff:OATT)の改定版が添付されていましたので、その改訂版料金表別紙DD第5.14項(ATTACHMENTDD.5.14)からMOPRに関連する部分がどのように改定されたか見てみましょう。

 


OATT ATTACHMENT DD. 5.14 Clearing Prices and Charges

5.14 Clearing Prices and Charges
a) Capacity Resource Clearing Prices
b) Resource Make-Whole Payments
c) New Entry Price Adjustment
d) Qualifying Transmission Upgrade Payments
e) Locational Reliability Charge
f) The Office of the Interconnection shall determine Zonal Capacity Prices in accordance with the following, based on the optimization algorithm
g) Resource Substitution Charge
h) Minimum Offer Price Rule for Certain New Generation Capacity Resources that are not Capacity Resources with State Subsidy

h)がMOPRに関連する記述となりますが、ここまでは、州から補助金を得ていない新規電源が容量市場に参加する場合のMOPRの記述です。
今回は変更のあった、州の補助金を得た電源が容量市場に参加する場合のMOPRの以下の記述部分をご紹介したいと思います。

h-1)州の補助金を得た電源に関する最低入札価格ルール(MOPR)

(1) 一般規則

州の補助金を得た新規参入電源でPJMのRPMオークションに参加する場合、あらかじめMOPR適用除外が認められていない限り、入札価格がMOPRフロア価格を下回ってはならない。

(A)適用除外の効果

RPMオークションにおける入札価格は、料金表別紙DD5.14(h-1)(4)-(8)項に定義されている適用除外事項のいずれかに該当する州の補助金を得た電源に限り、別段の定めがない限り、入札価格がMOPRによって制限されないものとする。

(B)特例の効果

州の補助金を得た電源での入札において、あらかじめ当該電源固有の入札価格特例が認められていたものに限り、デフォルトのMOPRフロア価格を下回ってもよいが、特例の認定手順で定められた当該電源固有のMOPRフロア価格を下回ってはならない。

(C)州の補助金を得た電源の認定手順

(i) 2022/2023受渡年及びそれ以降のすべての受渡年に実施されるRPMオークションの募集期間開始の120日前までに、入札者は、PJMマニュアルに従い、PJMに対してRPMオークションに参加しようとする電源(DR及びエネルギー効率化資源を除く)が、州の補助金(共同所有の相互補助金付き電源を含む)を受ける電源として適格であること、及び州の補助金の有無を具体的に証明しなければならない。
DR資源又はエネルギー効率化資源でRPMオークションに参加する入札者は、2022/2023受渡年及びそれ以降のすべての受渡年に向けて実施されるRPMオークションの募集期間開始の30日前までに、入札対象のDR資源又はエネルギー効率化資源が州の補助金付き電源として適格であるか否かをPJMに証明しなければならない。
これらの証明は、入札者の責任において実施するものとする。上記の、州の補助金を受ける権利があるか否かの証明をタイムリーに行わなかった場合、入札者に対してFERCから権利放棄条項を受けない限り、州の補助金を受ける権利があるものとみなす。
ただし、入札者が料金表別紙DD5.14(h-1)項(3)に基づき、当該受渡年の資源固有特例を申請し、PJMが資源固有のMOPRフロア価格を承認した場合、入札者は、当該資源が州の補助金を得た電源であるか否かにかかわらず、デフォルトのMOPRフロア価格に代えて資源固有MOPRフロア価格を使用することができる。

(ii) 入札者の電源が、それ以前の受渡年に補助金を得る権利を有しており、かつ当年度補助金を得ることを宣言している場合は、州の補助金の設定に変更がないか、または、DR・エネルギー効率化資源適用除外、蓄電資源適用除外、自給自足事業体適用除外、再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(RPS)適用除外の対象となる電源でない限り、上記(i)の要件は適用されない。
(iii) 一旦、州の補助金を得た電源として認定されたものは、当該電源を所有又は管理する入札者(又はそれに続く入札者)が、当該電源の地位の変更の証明書を提出するか、PJMが当該地位を解除するか、又はFERCの命令により解除するまでは、当該電源の地位は変更されない。すべての入札者は、電源の州の補助金を得た電源としての地位に重大な変更があった場合には、その重大な変更から30日以内に、PJM及び市場監視ユニットに証明する継続的な義務を負うものとする。このような重大な変更が、2022/2023年受渡年及びそれ以降のすべての受渡年のRPMオークションの募集期間開始から30日以内に発生した場合を除き、入札者は、2022/2023年受渡年及びそれ以降のすべての受渡年のRPMオークションの募集期間開始の5日前までにPJMに通知しなければならない。

本規定のいかなる部分も、すべての入札者が料金表別紙DD 5.14(h-1)(1)(C)(i)に基づく州の補助金を得た電源の基準を満たしているかどうかをPJMに証明するための要件に取って代わるものではない。

(2) 最低入札価格のルール(MOPR)

州の補助金を得た新規参入電源の入札に当たって、料金表別紙DD 5.14(h-1)(4)~(8)に定義されている適用除外に該当しないものに関して、入札価格がMOPRフロア価格を下回ってはならない。
ただし、MOPRフロア価格が最高入札価格制限よりも高い場合、RPMオークションに参加するためには、資源タイプ別MOPRフロア価格のプロセスに従って決定された資源固有の価格を求めなければならない。資源固有のMOPRフロア価格が、最高入札価格制限を上回る場合は、当該資源について、MOPRフロア価格と同額のオファーのみ提出することができる。

(A) 州の補助金を得た新規参入電源用MOPRフロア価格

州の補助金を得た新規参入電源に適用されるMOPRフロア価格は、電源の種類ごとの新規参入の純コストに基づいて、以下のいずれか入札者の選択により決めることができる:
(i) 料金表別紙DD第5節の資源タイプ別MOPRフロア価格決定手続きに従って決定された資源タイプ別の価格とするか、
(ii) 下表に示す新規参入価格の総コストに基づき、入札電源の所在するゾーンに基づいて2022/2023受渡年以降の受渡年について調整された、該当する資源のデフォルトの新規参入MOPRフロア価格から、当該資源の推定正味エネルギー収入及びアンシラリーサービス収入を差し引いたものとする。

上表の新規参入総コスト(Gross Cost of New Entry)値は、定格容量換算でMW-日あたりの価格(ドル)である。

<以下、表に関する補足事項の詳細を省略>

負荷削減型DR資源のデフォルト新規参入MOPRフロア価格(すなわち、発電を含まないDR資源)は、各送電制約地域(LDA: Locational Deliverability. Areas)において、直近の3回のベース残余オークション(BRA:受渡年度ごとの第1回のオークション)での負荷削減型DR資源のMW加重平均入札価格から個別に決定する。
ディーゼル発電機を動力源としない発電支援型DR資源のデフォルト新規参入MOPRフロア価格は、その技術タイプに適用されるデフォルトの新規参入MOPRフロア価格とする。
本節に従って規定されたデフォルトのMOPRフロア価格が存在しない技術タイプを使用する発電支援型DR資源がRPMオークションに参加する場合、料金表別紙 DD, 5.14(h-1)(3)項の資源タイプ別MOPRフロア価格決定手続きに従って資源固有の価格を求めなければならない。
エネルギー効率化資源のデフォルトの新規参入MOPRフロア価格は、64ドル/ICAPMW-日(新規参入のネットコスト)とする。

<以下、資源タイプごとのNetCONE計算のための詳細説明を省略>

2022年6月1日に開始する受渡年から、以降4回目の受渡年ごとに、PJMは新規参入電源のデフォルトのグロスコストを見直さなければならない。その見直しには、資源タイプの固定開発費、建設費、運用費、保守費の分析が含まれるが、これに限定されるものではない。そのレビューの結果に基づき、PJMは、上記の表に記載されている新規参入電源のデフォルトのグロスコスト、およびエネルギー効率化資源のデフォルトの新規参入MOPRフロア価格を修正するか、または維持することを提案するものとする。PJMは、この提案を公に掲示し、関係者のコメントを求めるものとする。このプロセスの結果、新規参入値のデフォルトのグロスコストまたはデフォルトの新規参入MOPRフロア価格が変更された場合、エネルギー効率化資源の新規参入値のデフォルトのグロスコストまたはデフォルトの新規参入MOPRフロア価格が変更される。
PJMは、エネルギー効率化のための売電価格が提案された場合、新しい値が適用される最初の受渡年のベース残余オークションが実施される前の10月1日までに、そのような修正案をFERCに提出しなければならない。

ハイブリッド資源を含め、本項に基づき規定されたデフォルトのMOPRフロア価格が存在しない州の補助金を得た新規参入電源がRPMオークションに参加するためには、以下の資源タイプ別MOPRフロア価格決定手続きに従って決定された資源固有の値を定めなければならない。資源固有のMOPRフロア価格を取得しなかった場合、PJMは、該当するRPMオークションで、そのような資源に基づく入札を拒否することになる。

(B) 州の補助金を得た既存電源のMOPRフロア価格

州の補助金を得た既存電源に適用されるMOPRフロア価格は、以下のいずれか入札者の選択により決めることができる:
(i) 下記5.14(h-1)項版(3)の料金表別紙DDに従って決定された資源タイプ別MOPRフロア価格に基づくか、又は、
(ii) 資源別MOPRフロア価格に基づく。

下表に示す該当資源タイプのデフォルトの回避可能コスト率(Avoidable Cost Rate:ACR)は、回避可能コストの変化を反映するために、2022/2023年受渡年以降の受渡年で調整され、予測されるPJM市場収入を差し引いたもので、資源の過去の純エネルギー収入及びアンシラリーサービス収入と同額のものである。


上表のデフォルト総回避可能コストレートの値は、定格容量換算でMW・日あたりの金額(ドル)で表されている。入札価格を提出するためには、デフォルトの回避可能コストレートの値は、推定された正味のエネルギーおよびアンシラリ―サービス収入を差し引いたもので、その差額は、最終的に未確定容量(「UCAP」)MW・日に変換する。この値は、火力発電資源タイプおよびエネルギー貯蔵資源タイプの場合、資源固有のEFORdに基づいて決定される。太陽電池および風力発電資源の場合は、種類に応じた資源固有の容量値率(定格容量に対する容量連系権の比率に基づき、冬期の容量連系権については適切に時間加重している)、DR資源およびエネルギー効率化資源に対する予測プール要件(関連するRPMオークションに適用される)を適用する。結果として生じるUCAP/MW-day条件でのデフォルトのMOPRフロア価格は、実際の入札量にかかわらず、また、季節的な容量性能資源のための入札かどうかにかかわらず、当該電源の入札MWに適用されるものとする。

<途中省略>

ディーゼル発電機を動力源としない発電支援型DR資源のデフォルトMOPRフロア価格は、その技術タイプに適用されるデフォルトのMOPRフロア価格とする。
本節に従って規定されたデフォルトのMOPRフロア価格が存在しない技術タイプを使用する発電支援型DR資源がRPMオークションに参加する場合、料金表別紙 DD, 5.14(h-1)(3)項の資源タイプ別MOPRフロア価格決定手続きに従って資源固有の価格を求めなければならない。

ハイブリッド資源を含め、本項に基づき規定されたデフォルトのMOPRフロア価格が存在しない州の補助金を得た新規参入電源がRPMオークションに参加するためには、以下の資源タイプ別MOPRフロア価格決定手続きに従って決定された資源固有の値を定めなければならない。資源固有のMOPRフロア価格を取得しなかった場合、PJMは、該当するRPMオークションで、そのような資源に基づく入札を拒否することになる。


少し長くなってきたので、州の補助金を得た電源のMOPRに関する第3版改定内容のご紹介は、今日はここまでとします。

次回は、州の補助金を得た電源のMOPRに関する第3版改定内容として、後半の(3)~(9)までをご紹介したいと思います。

(3) Resource-Specific Exception.
(4) Competitive Exemption.
(5) Self-Supply Entity exemption.
(6) Renewable Portfolio Standard Exemption.
(7) Demand Resource and Energy Efficiency Resource Exemption.
(8) Capacity Storage Resource Exemption.
(9) Procedures and Remedies in Cases of Suspected Fraud or Material Misrepresentation or Omissions in Connection with a Capacity Resource with State Subsidy.

 

終わり